2009年7月刊『政権交代への軌跡』後房雄

「週刊朝日」2009年9月11日号 評者 土屋敦

 長年にわたり、日本における二大政党制の実現可能性を分析し、またその必要性を訴えてきた筆者の新著である。
 政権を独占する与党と、一定の影響力を持つ万年野党とが利権を分け合う戦後日本の政治体制の深刻な弊害や、1993年に小沢一郎らが政権交代可能な政治制度改革に乗り出し、それが結実しつつある現状に至る経緯をわかりやすく概説する。また著者の専門はイタリア政治であり、閉塞した状況から、一歩先んじて二大政治勢力による政権交代を実現したイタリアとの比較のおかげで、客観的に日本政治を眺めることができる。
 メディアには、政権交代が日常生活に与える影響といった、微視的な分析が溢れているが、本書を読めば、政策の具体的な中身以上に、民意を反映して政権交代が繰り返される「まっとうな政治システム」の確立ことが、重要であることに気づくのである。