書 名
『隠し剣 鬼の爪』の人間像
藤沢周平・山田洋次の作品世界2
著 者
日本女子大学教授 幸津國生
本体価格
2000円
ISBN
4-7634-0482-2 C0010 Y2000E
発行年月日
2006年12月1日
体 裁
四六判上製
頁 数
214頁
内 容
藤沢周平の世界と 山田洋次の世界との
重なり合いでどんな人間像が生まれたか

時代のうねりの中  その侍はなぜ刀を棄てようとするのか? 近代に踏み込む人間のもう一つの可能性

時代は幕末。東北の小藩・海坂藩の下級武士、片桐宗蔵。友を「上意討ち」させその妻を弄んだ権力者に対して、彼と彼女の無念の思いをはらすために秘剣をふるったが、「侍」であることの虚しさを痛感。祿を返上し、愛する女性・きえとともに「町人」として生きていくという決意をして、「蝦夷地」への旅立つ……。

目 次
はじめに …… 7
第1章 藤沢・山田両作品世界の重なり合いの深まり  11
1 『たそがれ清兵衛』から『隠し剣 鬼の爪』へ …… 11
2 本書の論点 …… 17
第2章 「侍」であることをめぐる主人公の態度  23
1 第一作と第二作との違い …… 23
2 主人公同士の偶然の再会 …… 26
3 主人公の行動 …… 38
4 主人公と義妹との関係 …… 42
5 「跳ぶ」ことへの促し …… 48
第3章 「商売」について  52
1 武士から町人へ …… 52
2 町人の立場の主張──石田梅岩の『都鄙問答』と庄内の「心学」 …… 56
第4章 武家のしつけおよび女性に対する主人公の態度について  59
1 女性主人公へのしつけの描写──大和歌 …… 59
2 女性に対する主人公の態度についての描写
       ──「山あじさい」と「山ゆり」との対比 …… 67
第5章 戦闘技術について  72
1 刀の位置付け …… 72
2 戦闘技術の描写──「卑怯な剣」? …… 74
3 かけひきの戦闘技術──柳生宗矩と宮本武蔵 …… 77
4 原作における戦闘の描写 …… 81
5 洋式調練の描写 …… 92
第6章 人間の愚かさ・哀れさへの眼差し  96
1 原作での描写 …… 96
2 映画での描写 …… 104
3 「鬼ノ(の)爪」という名称の意味 …… 112
第7章 映画の物語における「これから」の方向付け  124
1「蝦夷」の位置付け …… 124
2 近代における個人としての生き方 …… 128
第8章 『たそがれ清兵衛』・『隠し剣鬼の爪』の幸福論  143
1 「仕合せ」をめぐる問題 …… 143
2 「仕合せ」「幸せ」の語源的な意味について …… 147
3 映画における「仕合せ」の意味──第一作から第二作へ …… 156
4 「仕合せ」の根底としての人間の生と死 …… 168

註 …… 177
あとがき …… 191
文献目録 …… 196
映画『隠し剣 鬼の爪』キャスト・スタッフ一覧 …… 202
索引 …… ?
著者紹介
幸津國生(こうづ くにお)
1943年 東京生まれ
東京大学文学部卒業
同大学院人文科学研究科博士課程単位取得
都留文科大学勤務をへて
ドイツ・ボーフム大学ヘーゲル・アルヒーフ留学(Dr.phol.取得)
現在 日本女子大学勤務

著書
『哲学の欲求 ヘーゲルの「欲求の哲学」』弘文堂、1991年
『現代社会と哲学の欲求──いま人間として生きることと人権の思想──』弘文堂、1996年
『意識と学 ニュルンベルク時代ヘーゲルの体系構想』以文社、1999年
『「君死にたまふことなかれ」と『きけ わだつみのこえ』・「無言館」──近代日本の戦争における個人と国家との関係をめぐって──』文芸社、2001年
『時代小説の人間像──藤沢周平とともに歩く──』花伝社、2002年
『茶道と日常生活の美学──「自由」「平等」「同胞の精神」の一つの形──』花伝社、2003年
『「たそがれ清兵衛」の人間像──藤沢周平・山田洋次の作品世界──』花伝社、2004年
『ヘーゲル事典』(共編)弘文堂、1992年